ウォーターゲートを超えるもの ニクソン大統領図書館開設の場所探し

今回の記事は、ワシントンDCにあるNARAの研究部門で公文書技術者を務めるローレル・グレイの寄稿で、ウォーターゲート事件がNARAへ及ぼした影響に関する4回シリーズの3回目です。

1969年に大統領に就任したリチャード・ニクソンは、直ぐに大統領図書館のプロジェクトを開始、リチャード・ニクソン財団を設立し、計画を進めた。財団 は資金を調達し、NARAと協力してプロジェクトの場所を探した。しかし、70年代の混乱の中で、単純な計画のはずがは複雑で厄介なものとなった。例え ば、図書館を設置する場所を見つけるだけでも20年近くかかった。

大統領図書館は伝統的に大統領にとって重要な意味を持つ場所に設置される。アイゼンハワー図書館(カンザス州アビリーン)やフーバー図書館(アイオワ州 ウェストブランチ)のように、大統領の出生地や故郷に設置されることもある。フォード図書館(ミシガン州アナーバー)のように、大統領が通った学術機関に 関連していることもある。また、レーガン図書館(カリフォルニア州シミバレー)やブッシュ図書館(テキサス州カレッジステーション)のように、後年、大統 領にとって重要な意味を持つ都市や州に設置されることもある。ニクソンは当初、自分の故郷を図書館の場所に選んだ。

リチャード・ニクソンはカリフォルニア州ヨーバ・リンダで生まれ、近くのウィッティアで育った。彼はイースト・ウィッティア小学校、ウィッティア高校に通 い、家から近いウィッティア・カレッジにも通った。ニクソンの財団が図書館の計画を始めたとき、彼らにはウィッティアしか眼中になく、ウィッティア市も乗 り気だった。

1970年、ウィッティア市とウィッティア・カレッジは、ニクソン大統領図書館の建設地として熱烈な誘致を行った。 彼らは大統領とウィッティア市との深い結びつきをアピールし、有利にするための特別な条件も提示した。大学と市は、落札のために土地、資金、サービスの提 供を提案した。ニクソンとウィッティアの関係は数年間良好だったが、ウォーターゲート事件(1974年にニクソンは辞任)の余波を受け、結局この取引は決 裂した。
ニクソンの故郷がなくなったことで、話はノースカロライナに移った。1981年、財団はニクソンの法学部の母校であるデューク大学に接触した。ウィッティアの場合とは異なり、デューク大学の誰もが図書館の建設地になるチャンスに飛びついたわけではなかった。

この案は、大学の教員、経営層、学生の間で激しい議論を巻き起こした。あるグループは、図書館はニクソンのイメージ回復とスキャンダル抑制のための道具に 過ぎないと考え、関わりたくなかった。また別のグループもその可能性を心配したが、デューク大学ならそのような影響を防げると考えた。
図書館が自己満足の道具になる可能性を防ぐため、デューク大学の経営層は図書館をデューク大学に設置するのであれば、「観光客を惹きつける」博物館ではな く、あくまでもアーカイブの保管所とすること、という条件を加えた。結局、デューク大学学術評議会は35対34でニクソン図書館案を否決した。ニクソンは カリフォルニアに戻って場所を探すことになった。

大統領在任中、ニクソンは、西海岸のホワイトハウスと呼ばれたリフォルニア州サンクレメンテの自宅を頻繁に訪れた。このニクソンのランドマークを図書館に できないだろうか?サンクレメンテ市はニクソンと協力する気はあるようだったが、デューク大学と同じ考え方で交渉に臨んだ。1983年11月、市当局は財 団に、将来の図書館がニクソン氏に有利な偏った見解にならないことを保証する協定書に署名させた。

協定が調印されたが、サンクレメンテも長続きはしなかった。サンクレメンテ市は土地利用の問題でプロジェクトを延期し続け、財団は1987年に同市との関係を終了した。行き場を失ったニクソンは、すべてが始まった場所に戻った。

1969年、財団はニクソンの生家を国定史跡に指定するため、ヨーバ・リンダの自宅を購入した。当時、ヨーバ・リンダのプロジェクトは大統領図書館とは別 のものだった。しかし、その後の20年間で状況は変わった。故郷、母校、海岸沿いの別荘から拒絶された後、ニクソンの生家が図書館に最適な場所に見え始め たのだ。幸運なことに、この決定は支持され、1990年、カリフォルニア州ヨーバ・リンダにリチャード・ニクソン図書館と生家が正式にオープンした。

ニクソン大統領の生家
このシリーズの第1回と第2回のブログをお読みください。そして、ニクソン・ライブラリーがNARAの一部となった経緯を探る、このシリーズの最終回となる4回目の記事にご期待ください。
次回に続く・・・
https://prologue.blogs.archives.gov/2025/01/07/more-than-watergate-the-perfect-place-for-a-library/